工事を行う際などにときどき耳にする単語『ボーリング調査』
なんとなく地面に穴を掘って行うもの、という認識はあるかもしれませんが、実際にどんなことをどんな目的で行っているのか詳しく知らない人も多いのではないかと思います。
今回はそんなボーリング調査について詳しく分かりやすく解説していこうと思います。
ボーリング調査とは?
ボーリング調査とは、地盤をくり抜いて穴を開け、地盤の硬さや地層状況を判断するために行われる地盤調査法です。
一般的にボーリング調査は、くり抜いた穴を用いた標準貫入試験という試験を一緒に行います。この標準貫入試験については別途解説していますので、よろしければそちらもご覧ください。
また地盤をくり抜いた際に、その土をサンプリングし地層がどのようになっているのかも確認することができます。
いくつかある地盤調査の中で、もっとも一般的と言えるほどよく行われる調査方法のため、ぜひこの機会に詳しく覚えて行きましょう。
ボーリング調査を行う目的は?
そもそもボーリング調査を行う目的ですが、工事対象となる地盤が現在どんな状況にあるのかを把握し、工事を行っても地盤が崩れることがないのかなどの安全性を検討する資料を得ることを目的として行われます。
工事の中で構造物を建築したり、災害で崩れた法面を復旧する際など、さまざまな場面でまず最初に大切なことは、その工事を行う現地地盤の状況はどうなっているのかを把握することです。
地盤の状況を把握せずに弱い地盤の上に構造物を立ててしまった場合、その構造物は地盤沈下や地盤崩壊によって倒れてしまったり壊れてしまうことになります。
土木の工事では特に自然環境の中で行うことが多いため、地面の中の状況を知ることはものすごく大切なことになります。その地面の中の状況に合わせて構造物の規模を考えたり、地盤改良を行って地盤自体を強くしたりします。
そんな地盤調査のうちの特に頻繁に行われている一つがボーリング調査になります。
調査方法について
ボーリング調査は下図のようなヤグラを現場の対象箇所に設置し、専用の削孔機械を用いて掘削を行いつつ標準貫入試験と土のサンプリングを行います。
高さ、幅ともに約5mあり、調査を行うにはそれなりのスペースが必要になります。このヤグラを組むためには、2〜4tユニックか、傾斜のきつい法面など場所によってはクレーン(25tなど場所によって様々)を利用する必要があります。
また掘削する深さは、行う調査によっても異なりますが10m〜30mが一般的となっています。
土のサンプリングについては一般的に1mごとに採取が行われます。
調査結果について
ボーリング調査を行うことで得られるデータは、「地層の状況について」「地盤の硬さ(N値)」「地下水位の状況について」の3つが主になります。
地層の状況については、どこからどこまでがロームで、どこまでが粘土層で、どこからが砂礫層のように詳しく現場の地層が分かります。
地盤の硬さについては、地盤の硬さの指標であるN値(こちらについては別記事にて解説しています)が得られます。
地下水位の状況もサンプリングした土をもとに、地上から何mのところまで地下水が来てるのを知ることができます。
ボーリング調査の長所と短所
ボーリング調査の長所は、
・比較的深い地層まで掘削し調べることが可能。
・硬い地盤でも調査を行うことが可能。
・支持層(安定層)の確認を行うことが可能。
・世界中で標準化されている試験なので、試験結果の評価や対比が行える。
・膨大な過去の試験データが蓄積されている。
・標準貫入試験だけでなく、孔内水平載荷試験などの試験も行うことができる。
ボーリング調査のデメリットは、
・費用が比較的高くなってしまう。(スウェーデン式サウンディング試験などと比べて)
・高さ、幅ともに約5mあるので、広い作業スペースを確保する必要がある。
・ボーリングマシンはエンジンを動力源にしていることと、標準貫入試験を行う際に打撃音が発生するため、騒音が大きくなってしまう。
・試験期間が、数日から数週間と長くなってしまう。(本数が増えるほど長くなる)
まとめ
ここまでボーリング調査について解説してきました。
ボーリング調査は、工事を行う現場の地盤状況に懸念材料がある場合や、安全性の確認を行う際に用いられるため、安全が最重要である建設工事においては、かなり頻度が高い調査になります。
費用も一本だけでも数十万することもあり、対象面積が広ければそれだけ調査本数も増えていくので、費用も数百万になることもあります。
また地盤調査はボーリング調査だけでなく、サウンディング試験やCBR試験など、工種によってさまざまです。それらについても別記事で解説していますので、よろしければそちらもご覧ください。
この記事が工事に携わる皆さまの一助となればと思っています。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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